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「昨日はありがとね!!」
田所はズンズンと俺に近づいてきて、俺の目の前で止まって微笑みながらそう言った。
クラスに残ってた全員がこちらを凝視している。人気者である田所が、あの柳田俊に話しかけているのだからな。
「あぁ」
面倒なことにはなりたくなかったので、俺は適当に生返事をした。
まぁ、もう十分面倒なことになってるか。
「柳田君って4組だったんだ。瑠花と美智瑠と一緒のクラスなのに全然知らなかったよぉ。」
どうでもいいよ、そんなこと。俺は早く家に帰りたいんだよ、今日もバイトだし。
つーか何でこいつはここに居るんだ?…まっ、いっか。
それより周りからの視線が尋常じゃない。驚きやら嫉妬やらが痛いくらいに伝わってくる。
今まで俺にビビってた男子ども、その目はなんだその目は。これが愛の力ってやつか。愛の力は偉大だなぁ…………くっだらねぇ。
「ちょっと麻由!!何やってんの!!」
「………麻由。」
俺が心のなかで悪態ついていると、2人の女子がこちらに向かって歩いてきた。
1人目は栗色の髪を後ろで結んでポニーテールにし、目はキリッとしている。
2人目は黒のセミロングの髪で、何故か無表情。
2人とも顔もスタイルもよく、モテる部類の人たちだろう。
「瑠花に美智瑠!!」
田所は声のしたほうを振り向き、声の主であろう名前を呼んだ。
さっき話してた名前だな。友達なんだろう。
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