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俺はわざとその女の子を避け、自分の存在に気付かれないようにして歩いた。
女の子との距離はあと5m程。
気付かれなかったな。
と安心して、ふとその子のほうに目をやった。
すると、調度その子も振り向き目が合ってしまった。
マズイ。と思っても後の祭り。
「あの……、この辺りでペンダント見かけませんでしたか…?」
その子は立ち上がり、案の定俺に話しかけてきた。
透き通るような綺麗な声だ。
それより、落とし物を探していたんだな。
しかも、傘もささずに探しているなんて、よっぽど大事なのか高価なものなんだな。
「知りません。」
俺は冷たく言い放つ。
仕方ない。俺はペンダントなんて見かけていないんだから。知らないものは知らないんだ。
「…そぅですか……。すみません。ありがとうございました。」
彼女は落ち込みながら、再びペンダントを探すためにしゃがみこんだ。
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