42人が本棚に入れています
本棚に追加
今度は声が聞こえたようで、彼女はこちらに振り向いた。
暗くて顔はよく見えないが、相当疲れているのは確かだ。
「これ、そこに落ちてた。」
俺はそう言って、手に握っていたペンダントを差し出した。
「えっ……!ありがとぉぉぉ!!!!…じゃなくて、ございますっ」
俺の手にあるそれを見た途端、彼女の顔はパァっと明るくなった……気がした。
嬉しさのあまり、つい出てしまったタメ口を慌て直している。
まぁ、よかったかな…。
と、若干照れ臭くなっている俺に、彼女が近づいてきた。
月の光に照らされて段々と彼女の顔が見えてきた。
「「えっ」」
驚きのあまり思わず声を洩らしてしまった。
彼女も俺の顔を見て驚いているようだ。
まぁ、そうか。
わざわざ人に親切にするなんて、普段の俺からは考えられないもんな。
因みに俺は学校でちょっとした有名人だったりする。悪い意味でだが。
日頃の冷徹,無口,無愛想な態度から、俺の知名度は全校に広まりつつある。
まぁ、俺としてはどうでもいい。
そのおかげで俺に関わってくる奴もいない訳だから、逆にありがたいほどだ。
最初のコメントを投稿しよう!