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そんな彼女、田所が今、目の前にいる。
髪が濡れてて妙に色っぽい。学校のアイドルと言われている所以だ。
「……柳田君って、ホントは優しいんだねっ!!」
最初は驚き戸惑っていた田所だったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「別に落ちてたから拾っただけ。」
俺は声のトーンを下げて冷たく言った。
「あれぇ?私は4時間探しても見つからなかったのにぃ…。うぅん~……」
田所は首を傾げて腕を組み、考えるポーズをしながら唸っている。
ゲッ。4時間も雨の中探してたのかよ。ゼッテー風邪ひくぞ。
「じゃ」
そう言って俺はその場を去ろうとする。
「うんっ!バイバイ!!また明日ねっ!!」
そう言って手をブンブン振る田所。
少しは声のボリューム下げろよ。近所迷惑だ。
それにまた明日って…。
さっき会ったばかりなのにもう友達気取りかよ。
そう思いながら家への道を歩いていった。
いつの間にか雨は止んでいた。
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