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熊をさ、倒してから気が付いたんだけどさ?俺、全裸何ですけど……。裸一貫から出発だぁ!みたいな意味にしてもこれは酷いよね。
という事で、取り敢えずは服着たほうがいいと思うんだ。一応TPOってやつだね。一応、社会人ですからッ!
と、言うことで、熊さんの毛皮を戴こうと思うんだ。といってもだ、ナイフすらない現状ですから、こらもう原始人の知恵を借りますわ。
右をみた。巨木があるのみ。左をみた。巨木があるのみ。上を見た。木々の隙間から青い空。むぅ……後ろをみた。巨大な石。半分は土に埋まっているが、直径5メートルはありそうだ。
しかしだ?今の勇次郎ボディを持つ俺にはちょろいと思われる。ん?岩を砕くのさ。
俺は岩の前に立ち、半身に構える。そして、引いた利き腕の拳を限界まで握り締める。ギチッ…ギチッと音がするほど握りこむのだ。
そして、弓を引き絞るが如く身体を後ろに捻る。限界まで捻った所から、俺は一気に溜めた力を解放した。
ひゅっ
握力×体重×速度=破壊力ッ!!
ドンッ!!!!!!
ただ無造作にぶん殴られた巨大な岩の成れの果ては、目の前に積まれた石くれの山だった。
その中から鋭利な石をいくつか選び、熊の身体から皮を剥がしていく。まだ柔らかい身体だから、剥がすには苦労するかと思ったが、全体的な筋力が上がっているせいかイカの薄皮を剥がす時のように楽に剥がせた。重畳重畳。
腹から裂いた熊の皮は、頭を残したままマント状に完成した。だが、血生臭いままじゃ着れやしない。なので俺は水場を探してひんやりした風を頼りに森を歩き始めた。
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