墜ち行く日本

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雪が降り積もる 盾の様に積んだ土嚢の上は雪が降り積もる 「寒いな…おい、どうだ?」 「いや、何も見えないッス」 「寒いだろ? コーヒーでもどうだ?」 「悪いな」 「どもッス」 被ったヘルメットの上もみんな雪がついている まるで海坊主の頭が白くなったかの様に 「どううなってんだ?」 「何がスか?」 数日前からこの県境の町で防衛拠点を作っているがなかなか敵が現れない 目と鼻の先にある隣の県にいるのは分かっているのに 敵が一向に現れないのだ 「いや、司令部からの情報だとそろそろ敵が来るんだが…」 隊長が腕時計を見る 時刻は既に朝7時を廻っている 予定では5時には交戦のはずなのだが 「でもあれッスよ! 何もないほうが1番ッスよ」 つい最近一等陸士になった若造が笑ってみせる 俺もそいつと同い年だけどな そんなことより ちょくちょく他の部隊からの入電が合いつぐ どれもこれもみな同じ 「こちら○○分隊。以上ありません」 あんまりにも不気味なほど静まり返るこの状況 少し…いや かなり嫌な予感はしていた 「隊長! 中隊長の命令で我々が偵察に行け。とのことです」 しゃがみながら小走りで新人が来る 被ったヘルメット、手にした銃、身に纏った戦闘服 どれを見ても新人 彼が走ってきた方向には 対戦車砲を隠し小銃を手にする 陸士長 その傍らに念入りに装備を確認する機関銃手 そしてなにやら談笑している一等陸士と二等陸士 俺達は7人で第3小銃小隊なのだ 「そうか…仕方ない。行くぞ」 「了解」 渋い顔をして土嚢を乗り越えた分隊長の後に続いた 俺の後ろに他の隊員が続く
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