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周辺の安全を確保したら捜索隊として我々第3小銃分隊が雪山の中を歩き出した
5人1組で雪中を歩き回る
足が痛い
指先が悴む
視界は案外不良
1人1人がある程度の距離を取って誰かが見れない方向をカバーしながら進む
「いないッスね」
ぼそっと誰かが呟いた
確かにあたりは一面真っ白でまったく把握できない
俺の目の前を歩いてゆく分隊長
風が吹き抜ける耳元をある時遠くから響く轟音が横切った
「止まれ」
先頭を歩く分隊長の右拳が掲げられる
ソレにあわせて5人が近づいてしゃがむ
「ちょっとこの小高くなってるところから向こう側が見れる。双眼鏡を貸してくれ」
隊長の右手が催促するようにこちらへ差し出される
「はい」
「すまない」
そう言うと双眼鏡片手にそこを駆け上がり一番高いところで伏せた
「…さん。何だってこんな事になったんスか?」
まだ若い陸士長が俺の方を突く
「んなもん俺に聞くな」
聞かれたって俺にはわからない
そいつだって分からないから聞くのは分かっているけれど
ふと顔を挙げると隊長が手招きをしていた
「なんですか?」
俺も駆け上がり隣に伏せた
すると、轟音と小銃を撃ったような音が聞こえた
「ちょっと見てみろ。向こうだ」
隊長に言われるがままその方向を見ると
丘の下にこちらを向いて配置された戦車
そして丘を駆け上がるアメリカ軍兵士
ソレを追う…ロシア兵?
なにやら様子がおかしい
「くそっ。あいつ等遊んでやがる」
隣でそう呟く隊長の言うとおり
たしかに追い駆ける兵士は銃を撃つのだが当てる気がない
それに追い駆けられてるアメリカ兵は手に銃を持っていない
たまに下から放たれる戦車の砲弾がアメリカ軍兵士の近くに着弾して土と雪を頭の受けから被せてる
「隊長。本隊に報告したほうが…」
「今あいつらにさせてる」
振り返ると陸士長にせかされていそいそと無線連絡している
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