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春木屋の中は大志学園の生徒で混み合っていた。
この店って、お客の占める割合の半数が、うちの生徒なんだって(オーナーさん情報です)
人気の秘密は、よそのコンビニよりリーズナブルで、そして文房具を扱う量がハンパないからだって言う話なんだ。
「よっ、大河。お待たせ~」
「よっ、冬弥。おっはぁ~」
雑誌コーナーで立ち読みしていた大河を見つけると、笑いながらハイタッチで挨拶をかわす…
何故ハイタッチかって?理由なんか…ない。
「ねぇねぇ、あれ見てぇ、大河君と冬弥君だよ。カッコイイなぁ」
「彼女いないのかなぁ?」
ざわ、ざわ、ざわ、ざわ……
にわかに春木屋の中(女生徒のみ)が騒がしくなってきた。
「ふっ、また女の子達が騒ぎだしたよ冬弥。そろそろ学校へ行く?」
目線を外に移しポーズを決める大河。ナルシってますなぁ~。恥ずかしいって言葉知ってますかぁ?
「おう、ちょっとガム買うから待っててくれ。大河もいるよなガム?」
店の迷惑を考え、大河の分もガムを買って投げ渡す。
「ほら、受け取れ」
「おっ、ありがとう。ってか冬弥ってクールミント好きだねぇ~」
ニコッと笑うと受け取ったガムをその場で開け、口にほうり込む。
「まぁな、ほら、俺ってクールだから」
マジか?といった表情で、半分呆れながら右手を額に当てる大河。
「それって自分で言う事?」
いつもより厳しいなツッコミが。
え~え~、そうでしょうよ。ホントにこういう時の返しは早いよ大河。
「んじゃ、そろそろ学校行こうぜ。」
大河の背中を軽く叩き、コンビニを出ようとすると、背中から俺達を呼び止める声が掛かった。
「冬弥、大河君」
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