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指差す先には夕日。
あの大河に反射して、二つの太陽が沈もうとしていた。
自分の街にもこんな絶景ポイントがあったのか。
他の人にも見せてやりたい
いや、やっぱりみんなに教えるなんてもったいないな。
ちょっとした独占欲が働いた。
「綺麗…ですよね…
この風景を一緒に見たかったんです」
メリーさんフェンス越しには夕日を眺めていた。
夕日に照らされたメリーさんの顔がいつもより大人びて
それでいて儚げに見えた。
これほど絵になっている風景もなかなか無いだろう。
そんなメリーさんにドキッっとする。
だけど、同時に悲しくもなった。
メリーさんからこの日常を奪った犯人を僕は許さない。
だけど、今はこの景色を目に焼き付けておこう。
もしかしたら、二度と見れないのかもしれないのだから。
やがて、2つの太陽は地平線へと消えていった。
一気に辺りは薄暗くなる。
「帰ろっか」
メリーさんは目を袖でゴシゴシと擦り
いつもの調子で言った。
「はい!」
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