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「そこで、あなたに驚いていただきたいんです。形だけでいいんで」 「はぁ……形だけでいいんですね?」 「いいんです」 後ろを向くようにと促すメリーさん。 あまり気は乗らないがそれぐらいだったらいいだろう。 後ろを向くと携帯電話の着信音が鳴り響いた。 「もしもし」 「私メリー。今あなたの後ろにいるの」 知ってるよ。 すぐ後ろで聞こえる声と携帯から聞こえる声がほんの少しずれて聞こえておかしな感じだった。 そして振り向くとさっきと同じ姿勢のメリーさんが 笑顔でアイコンタクトをとってきた。 驚けという合図なんだろう。 僕はもてる演技力のすべてを込めて驚きを演じた 「う、うわーびっくりしたー……」 「……」 「……」 ごめんなさい。 「はい、OKです。ありがとうございました」 「いいのかこんなんで……」 驚きの審査基準を聞いてみたいものだ。きっと驚くほど適当なんだろう。
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