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ある日父が言った。
『父さん、再婚するけどええか?』
俺には兄がいる。
その兄と顔を合わせて、二人して突っ込んだ。
『誰とぉ?』
父は照れくさそうに
『お前らは…知らん人じゃ…』
…当たり前。
女がいることは分かっていた。
タンスの上に、最近できたラブホテルのライターが日に日に増えていたから。
しかし再婚って。
まぁ、父の人生だから好きにすればいいと思うが、果たして全然面識ない女性を母親と呼べるのか…
『好きにすりゃ~いいんとちゃう』
兄も同じ考えか。
『もう二人とも高校生になっとるから…再婚するけぇ。…決めとるけぇの』
決めてるなら何を確認とろうとしたのだろうか?
『あと…お父さん、家を買ったけぇ、今年中には引っ越しするで』
おいおい。
『こっから案外近いとこじゃけど、学校までは自転車で行ってくれぇよ。…兄ちゃんは引っ越した方が学校に近くなるけぇ問題なかろぅが』
おいおい…。
おいおい…。
『近ぅなるんじゃったら、俺はええよ…』
はい?
父様、兄様、自分のことばかりですか?
学校まで歩いて通学できるから、今の高校を選んだのに…
今になって自転車通学ですか?
…嫌です…
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