野球と夏恋 (後半)

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 「ゲームセット」審判の右手が上がった。  直樹の目はうるんでいた。そして、慎太郎は号泣していた。  監督の話は終わり、直樹は一人でトイレに行った。直樹は洗面所の前で、トイレの壁を殴った。直樹の拳から、後悔の血が流れる。痛みは感じなかった。  拳と顔を洗って、帽子を深く被りトイレを出た。  「すいません」  どこかで聞いたことがある声だ。  直樹は帽子のつばを少し上げ、前に立っている人を睨むような形で見た。    そこには、肩まである髪をポニーテールにして結び、青いワンピースを着た檸檬ちゃんがいた・・・
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