始まりは突然に

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    どうしてこうなっているのか 考えている余裕はなかった この変な感覚が終わるまで ただ我慢するしかない (助けて……) 言えない台詞を 心の中で何度も繰り返す 分かっている 誰にも聞こえないことは だけどそれでも 私は願わずにはいられない 「おい」 『なっ、何ですか?』 (すっかりこの人の存在を 忘れてた…) 「手を出せ」 『え?』 「いいから手を出せ」 布団の中に潜っていた私は 言われた通りに 手だけを出してみた ギュッ 『え…?』 握られた手に感じるのは 優しい温もり (どうして……)  
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