プロローグ

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「ふっふぁ……眠い……」  とあるアパートの一室で、一人の大学生がパソコンと睨めっこをしていた。そのレポートのタイトルは『音楽が脳に与える影響について』と書かれていた。  長時間画面と向かっていたせいか、椅子にもたれ掛かり、天井見上げて疲れを感じさせる溜め息を吐き出した。 「はぁ……こんな事になるんだったら前からやっておけば良かった」  現在の時間は午前四時。今やっているレポートの提出は今日期日のモノ。時間で言えば、残り五時間ぐらいしかない状況だ。  その為に、徹夜でのレポート作成となっている。彼――清水陽一は後悔という渦の中にいた。  疲れた……息抜きするか  レポート作成は一時中断。画面にあるレポートは念のために保存をして、別画面を開いた。ショートカットキーをクリックすると、画面には『東方風神録』と書かれたゲーム画面が開いた。  早速始めようと、キーボードの上に両手を置いた時、誰かがインターホンを押し、呼び鈴が部屋中に鳴り響いた。  誰だ?こんな夜中に……  スタート画面のまま、パソコンの前から離れた。その間、誰かは扉を乱暴に叩いて、ガッチャガチャとドアノブを動かしていた。 「はいはい、今開けるからってお前か……」  溜め息混じりに扉を開けると、その扉の前にいる人物を見て、さらに溜め息を吐いた。 「よいっす。今バイトの帰りなんだ」  扉を開ければ、屈託のない笑顔を浮かべる変態的な親友――真神悠介が、コンビニ袋片手に立っていた。  彼らはどこにでもいる普通の大学生。ただ、東方好きでニコニコ常連を除いて。そんな彼らを中心に、一風変わった異変が巻き起こる。その事を今の彼らが、予想などできる筈もないだろう――。
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