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「あっそ。で、何だ?」
陽一は明らかに嫌そうな表情を浮かべて溜め息一つ漏らす。今から折角の息抜きタイムに入ろうとした時に、この訪問。邪魔をされれば嫌になるのも分からなくもない。
だが、その表情を見ても悠介は、意に介さずに笑顔を浮かべたままであった。こちらもこちらと言うべきか、慣れている様子だ。
「そんな嫌そうな顔すんなって。小腹空く時間だと思って廃棄のパン持ってきたのに」
ガサリとコンビニ袋を陽一に差し出す。中を見れば、本日消費期限の惣菜パンや菓子パンが入っていた。
「よし、帰っていいぞ」
「ちょっと待て!! それは酷くないか!?」
コンビニ袋を受け取った後、閉めようとしたドアに悠介は左足を挟み込み、身体をうねらせて部屋に入ろうとしてきた。
「俺は忙しいんだよ!!」
「嘘付け!! 何で風神録の封印されし神々が聞こえるんだよ!!」
何で聞こえんの!?と驚きの表情を浮かべた。ドア付近まで微かに聞こえる音楽をズバリと名前を言い当てた。
尚、今いる場所からでは普通は聞こえない音量で流している。こんな夜更けにうるさくしてたら、近所迷惑だからだ。
だが―――。
「今さっき息抜きしようとしたところだ!! いいから帰れ!!」
「なら結局は今だけ暇だろ!? それとも俺には見せられない如何わしい物でもあるのか!!」
「お前と一緒にするな!! 帰れ!!」
「嫌だ!!」
「帰れ!!」
「嫌だ!!」
「帰―――」
「おい!! うるさいだろ!!」
突如隣の人が、寝巻き姿で抗議をしてきた。突然の登場に、陽一と悠介はビクついた。
「「す、すいません……」」
二人揃って謝った後に、陽一の部屋に入った。
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