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「やっぱ風神録じゃん」
靴を脱ぎ、陽一の部屋に入るなり、気になるパソコン画面に目を向ければ、悠介にとって見慣れた画面が映し出されていた。
「今はな。だけど、気が変わった。今からレポートする」
呆れながら言う陽一は、椅子に座ってQuitを押して、『東方風神録』を閉じ、先ほどのレポート作成途中の画面を開いた。
「つまんね……ん? それまだ終わってないのか?」
画面を覗き込んだ悠介はしかめっ面をした。今陽一がしているのは本日提出のレポート。普通なら、昨日、一昨日に出し終えていてもおかしくないものだ。
「まぁね。他の講義のレポート優先してたらこれが最後に残ったから徹夜で作成中」
「はぁー、それで起きているのか」
「分かったら帰れ。お前がいると色々と集中できない」
「大丈夫だって。隅っこで漫画でも読みながら大人しくしているから。それに帰ったところで暇だからな」
ドヤ顔で言う悠介を見て、ただ呆れるしかなかった陽一だった。好きにしろ、と言った後は黙々とレポート作成を始めた。
悠介は悠介で、部屋にある数少ない漫画を探し、ベッドに横になって読み始めた。
朝になれば、寝ているだろうな……
そんな事を思いながら、締め切り間近のレポートの作成を続けた。
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