第一章 ザルバリアの現実

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           ‡  時間は進む。  意識せずとも、望まずとも。  人の思いを、嘲笑うかのように。 「いやはや、アリア嬢はまた猟兵団の屑どもを懲らしめてきたとか。彼らを駆逐できない我ら諸侯にとっても貴女の存在は輝かんばかりに光って見えますな」  パーティーは嫌いだ。しかし、貴族としての義務であり、そしてこの世界で生き残っていくにも必要な行事の一つだ。  解っていても、アリアは心底パーティーとやらが嫌いだった。まだ修練に費やした方が意義のある時間の使い方だと思う。  猫撫で声でアリアを持ち上げる諸侯に、鳥肌を立たせながらも笑って言葉を返す。 「まだまだ若輩の身です。貴殿が所持している武力に比べれば矮小な存在でしょう」 「おおっ、と! まだあちらの方に挨拶していなかった。それではアリア嬢。また機会があればご歓談しましょうぞ!」 「ええ。楽しみにしています」  取って付けたような言い訳を吐き捨てながら、丸々と太った諸侯はアリアの近くから走り去った。  余程己が持つ武力の話をしたくないようだ。  ――それも当然ですね。  武力を持ちながら各地に出没する猟兵団――”星屑の聖座“を討伐しないのだから。  金や兵がいなくなるのを極力避けている。民のことをこれっぽっちも考えないで。 「はぁ」  それにしても、と辺りを見渡す。  豪華なパーティー会場だ。
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