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「むしろ、あの民を見て、平然と徴収できる彼らの気が知れません」
「そりゃそォだが、お偉いさん方には民も動物も同じよォに見えてンだよ。仕方ねェさ。だからこそ、星屑の聖座の野郎共に、民は期待してンだよ。情けねェ話だがな」
「……そう、ですね」
師匠が何気無く発した言葉。
アリアとて感じ取っていた。
無法者に過ぎない彼らを、政治の腐敗に疲れきった国民は英雄視している。
それについて、師匠に問い掛けようとするアリアを遮るように、壇上から大きな声が発せられた。
『しかし、この災厄は必ず我らの力を結集すれば払い除けられるでしょう! そのために私は、私を支えてくれる妻を授かることにしました!』
そういえば、とアリアは思い出す。バインツバルド家の次期当主がまだ未婚なのはかなり有名な話である。
大貴族は幼少の頃、もしくは生まれる前から許嫁を与えられる。大きくなれば結婚。それが当たり前の話だ。
アリアはその例外。アリアの父が自分の娘には本当に好きな人と結婚して欲しいと願っていたらしく、許嫁などは存在していないのである。
母から早く婿養子を貰えと散々迫られたが、のらりくらりとかわしてきた。
しかし、
『その妻とはーー』
パーティー会場が固唾を呑んで見守るなか、バインツバルド家次期当主は高らかに言い放った。
『ライドラール家次期当主、アリア・ライドラール。彼女は私の妻となるのです!』
――……はい?
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