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「どうすれば……」
「俺の推測だがなァ、多分もォ取り返しのつかねェ所まで行き着いていると思うぜ。なんせ、ザルバリアの主要人物が一同に集まった席で宣言したんだ。今さら出来ませンでしたと言えねェだろォし」
「…………」
正論すぎる言葉の数々に、アリアはげんなりした。
貴族は無駄にプライドが高い。特にバインツバルド家はザルバリア王国創設に関わった一族なのだ。気位が果てしなく高い。
出来ませんでしたとなれば、文字通りバインツバルド家の威信に関わる。だからこそ、絶対の自信と用意がなされてから宣言されたと考えてまず間違いない。
「つまり、もう、お母様とバインツバルド家の方で話が付いているのでしょうね」
「十中八九な」
師匠が椅子に座りながら足を組み、アリアの悩みを吹き飛ばすかのように豪快に笑った。
「でもまァ、いィじゃねェか。どうせお前、好きな奴とかいねぇンだろ?」
「それは、そうですけど……」
恥ずかしい話、好きな異性なんて生まれて二十一年、出来たこともない。
「でも、そういう話では……。わたくしは、本当に好きな人と、生涯を共に歩きたいと思った方と結婚したいのです」
「堅苦しィな、おい。だから好きな奴ができねェンだよ。チットは緩めやがれ。このままじゃ一生、処女のままだぞ」
「よ、余計なお世話です!」
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