第一章 ザルバリアの現実

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「え?」  思わず間抜けな声が漏れる。  驚きを隠せなかった。レスベルとレオンハートと云えば、歴史上最も偉大なことで有名な二大英雄だ。  レスベルは太古の昔、『始まりの場所』と呼ばれる『聖域』を発見して、全人類に魔法という奇蹟を与えてくれたに人物。  レオンハートは今から約百年前の人間で、原因不明のまま魔法を使えなくなった人類に、再び魔法の恩恵を施してくれた人物。  二人ともこの世界に住む人間なら、例え子供でも知っているぐらいの英傑である。  しかし、名前や伝説と違って、彼らの素性は殆ど把握されていない。レスベルはともかく、レオンハートまでもが後世に伝わっていないのは明らかにおかしい。  師匠は、アリアが小さい頃から口を開けばそんなことを言っていた。おかしいと。もっと世間にレオンハートの素性が広まっているのが普通である、と。 「俺が、暇さえありゃ国中の遺跡に足を運んでいたのはお前も知ってたろ?」 「ええ、まぁ。ほとんど空振りだと愚痴を溢されたこともありますから」  あの時は積もり積もった鬱憤を晴らしたかったのか、五時間もぶっ続けで愚痴を聞かされた。  ――多少、お酒も入っていたようでしたけどね。 「あァ、そうだ。ほとんどが空振りだった。だけどな、今回ばかりは違ったンだよ。当たりだった。驚いたぜ、なんとまァ、あんな遺跡が残ってたとはよォ」
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