第一章 ザルバリアの現実

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『どうやら、そなたたちの抱くレオンハート像は、実物よりも遥かに高尚化されているようだな。あやつめ、自らを取り巻く風評など気にしていなかったのだがな』  人間とはいやはや、やはり訳が解らないなと締め括り、ラシャはそれから押し黙った。遠い日に遭遇したレオンハートとの会話を思い出しているのかもしれない。 「あの、この遺跡は結局レオンハートやレスベルと関係があるのですか?」 『無論。この遺跡を造ったのはレスベル本人だぞ。レオンハートが改造した部分もあるがな。回りに描かれている壁画は、全て零世界の時の物だ』  頬がひきつった。  正体不明のぬいぐるみはレオンハートと面識があり。今居る遺跡はレスベルが造ったモノらしい。  何だか、アリアの存在が霞んで蔑まれているような気がする。ただの人間が足を踏み入れていい場所ではない気がする。 『例えば、その円筒を翼に着けた鳥のような物体は、零世界時の人間が世界中を移動するために造り出した物だ。“飛行機”と呼ばれていたらしい。他にも、数多くの“自動車”や“テレビ”などが普及されていたらしいな』 「は、はぁ……」  率直に本音を言おう。  話に全く着いていけない……ッ。 『どうやら我輩のこの姿は、零世界時の人間たちからしてみれば、“萌えぇぇ”と言うようだぞ』 「意味が解りません」 『クククク、我輩とて解らぬ。ただ過去より流れ(いづ)る部分的な情報を我輩は蓄積しているのでな』
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