第二章 悪魔の団体

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 ルーゼル王国。  その王都には、各国に蔓延る夜叉や猟兵団を牽制し、時に討ち滅ぼすために存在する組織の総本部がある。  討伐ギルド、探索ギルド等、様々に分類されるそれらを一括りにして『ギルド』と呼称される。  その総本部の一室。大きな窓に接した仕事机の椅子に腰掛け、女性が一人で報告書を眺めていた。  アッシュブロンドでサイドアップテールにしている髪、瞳は透き通る水色。人工的に生み出された物のような端正に整った顔は、見る者男女問わずに惚けさせてしまいそうなほど可憐である。 「……やってくれたわね、クソッタレ」  外見に似合わない罵り文句を吐き出し、報告書を握る手に力を込めた。紙にクシャクシャと皺が寄る。  その事を気にも止めなくなるほどに、女性は憤っていた。 「殺すだけじゃ足りないわね。皮膚を爪先から剥いでいこうかしら。それとも、一分事に剣で少しずつ刺していくのも有りね」  物騒な台詞を口にし続ける彼女の元に、扉をコンコンとノックする音が届いた。  待ち人がやって来たのだ。  いいわよーと了承すると、失礼しますと言う声と共に女性が一人、部屋に足を踏み入れた。  アッシュブロンドの髪は腰辺りまで伸びており、毛先から三分の一の範囲まで何故か紅く染まっている。眼は水色で。顔の造形も、どことなくサイドアップテールの女性と似ている。  当たり前だ。  彼女たちは姉妹なのだから。  最初から部屋にいた女性がシェリア・バリストレイ・アルファル。  後から部屋に来た女性は、シェリー・アルファル。  どちらもギルド兵士である。  
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