5217人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
「それが裏の顔よ」
探索ギルドの人員が突き止めた真実。ザルバリア王国の僻地にあるアジトの中で、今も非人道的な実験を行っているのだ。
これを見過ごす訳には行かない。
ザルバリア王国の貴族は腐っていると聞いた。仮に来の教団の存在を知っていたとしても、その討伐に繰り出すことはしないだろう。
なら、ギルドがどうにかしなければならない。
「これを私に見せるということは、“そういうこと”ですか?」
「察しが良くて助かるわ。あのチビスケからも了承したし、明朝にでも精鋭を率いて王都を出発するわよ」
シェリアは、更にもう一枚の紙を妹に投げ渡した。その紙面には多数の名前が。全て討伐ギルドに属する精鋭の名前だった。
「隊長は轟剣である姉様で、副隊長は吼翅たる私が。これは少々、規模が大きすぎるのでは?」
殲滅すべき相手は、ただの研究員だとシェリーは言いたいのだろう。それだけなら、吼翅たるシェリーに一任すれば良いのだろうが。
「“星屑の聖座”の動きが活発化しているらしいわ。それに、“ゼクセル”が来の教団の実質的トップらしいのよ」
「…………解りました。それでは、私はこれで。明朝、お会いしましょう」
「ええ、待たね」
星屑の聖座に襲われた時の事を考えて轟剣が着いていく。その事実よりもシェリーを驚かせたのは、ゼクセルの名前が出たからだろう。
シェリアは呟く。
「ゼクセル、今度こそアンタを冥府の彼方に送ってあげないとね」
最初のコメントを投稿しよう!