第二章 悪魔の団体

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          †  異界の拡がる古代遺跡から抜けたアリア・ライドラールは、約一キロ先にある小さな村へ戻るために森の中を一人歩いていた。  それなりの収穫があった。  ラシャの言葉が真実なら、あの遺跡はレスベルが作り、レオンハートとも関わっていて、驚くことに世界の安寧を支えている大事な場所のようだ。  師匠の願いは調査だったけれど、ラシャは赦さないに違いない。現に『調査をしてはならぬ』と忠告した時のラシャは、明らかに虚空夜叉の実力を超越していた。  “あれ”は、自身を虚空夜叉だと定義していたようだけれど、アリアは違うと思う。尤も、では何なのかと問われれば首を(かし)げるしかないのだが。 「取り敢えず、師匠に報告しなくてはなりませんね」  早く王都に帰ろうと、歩みの速度を増そうとしたその時だった。  村のある方角から、誰かが此方(こちら)に向かって歩いてきていることを音で察した。  ――観光客? こんな辺鄙(へんぴ)な土地に?  自らのことを棚に上げて、アリアはそんな疑問を心中で口にした。  村人では無いだろう。どうやら彼らはあの遺跡を畏怖しているようで、絶対に近づかないとのこと。貫禄のある村長が震えながら言っていたのだからまず間違いない。 「……お、人間発見! おーい!」  と。黙考している間にも、歩み寄ってきていた人間がアリアを視界に捉え、今度は小走りで近付いてくる。  人懐っこい笑みを携えながら。 「いやー。アンタ、遺跡からの帰りか? こりゃ良かった。ラッキーラッキー。実はさ、オレも遺跡に用があって……――」 「取り敢えず、落ち着いてください」
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