第二章 悪魔の団体

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 見知らぬ人間だった。  性別は男。身の丈は、百八十センチに届くかどうか。身体は引き締まっていると思われる。厚い白のコートに身を包んでいるため、詳しくは解らないけれど。 「お、おお、悪い悪い! いやー、ザルバリアは寒いな。走っても走っても暖かくならねェ。アンタ、そんな軽装で寒くねェのか?」 「私は、炎系(えんけい)の魔法武芸者ですから」 「ヘェ、マジかよ。オレは雷系(らいけい)だ。雷って、何かカッコいいだろ? おまけに使える人間が少ないらしいしさ、得したなーって思ってたんだけどよ。ザルバリアにいる分には炎系の方がいいのかもな」  喋るのが大好きな人間らしい。  初対面なのに、この男はまるで旧知の仲であるかのように話してくる。馴れ馴れしい。だが、こういうタイプの人間は嫌いではなかった。  子供みたいで、微笑ましく思える。  その男は、黒髪だった。後ろ首の辺りで三つ編みにしている。額には、白を基調として赤い刺繍の施されたバンダナが。眼は黒だ。右目周辺の皮膚には刺青が彫られている。  パッと見て、星座みたいだなという感想を抱いた。 「ところで、アンタの名前は?」  こういう不躾な所も、昔、孤児院にいた子供たちによく似ている。 「アリア。アリア・ライドラールです」 「へェ。良い名前じゃねぇか。オレは、“篠原一刀(しのはら かずと)”。カズトって呼んでくれよな」
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