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見知らぬ人間だった。
性別は男。身の丈は、百八十センチに届くかどうか。身体は引き締まっていると思われる。厚い白のコートに身を包んでいるため、詳しくは解らないけれど。
「お、おお、悪い悪い! いやー、ザルバリアは寒いな。走っても走っても暖かくならねェ。アンタ、そんな軽装で寒くねェのか?」
「私は、炎系の魔法武芸者ですから」
「ヘェ、マジかよ。オレは雷系だ。雷って、何かカッコいいだろ? おまけに使える人間が少ないらしいしさ、得したなーって思ってたんだけどよ。ザルバリアにいる分には炎系の方がいいのかもな」
喋るのが大好きな人間らしい。
初対面なのに、この男はまるで旧知の仲であるかのように話してくる。馴れ馴れしい。だが、こういうタイプの人間は嫌いではなかった。
子供みたいで、微笑ましく思える。
その男は、黒髪だった。後ろ首の辺りで三つ編みにしている。額には、白を基調として赤い刺繍の施されたバンダナが。眼は黒だ。右目周辺の皮膚には刺青が彫られている。
パッと見て、星座みたいだなという感想を抱いた。
「ところで、アンタの名前は?」
こういう不躾な所も、昔、孤児院にいた子供たちによく似ている。
「アリア。アリア・ライドラールです」
「へェ。良い名前じゃねぇか。オレは、“篠原一刀”。カズトって呼んでくれよな」
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