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「篠原……。貴方はもしかして極東の国出身ですか?」
「お、何で解んの? 篠原家ってそんなに有名だったっけ? あぁー、オレの髪と目が黒いからか?」
「いえ、直感です」
「……………アンタって、真面目そうな感じとは裏腹にそういうのって信じるんだな。面白いなァ、あははは、良かった良かった。面白い奴は世界遺産だぜ。いくら居ても足りねェぐらいだ」
バシバシと肩を叩かれる。固い。刀や剣を振り続けて、マメが潰れて固くなった者の手だった。
――この方は……。
アリアを大貴族の人間と知らないのか、ぞんざいに扱っている。肩を叩くなんて、ライドラール家の強さを知っている国民なら出来る筈が無い。
地面を舐めろとアリアが命令すれば、一族を滅ぼされないために大の男でもやるだろう。恥辱に満ち溢れた命令でも、一切の躊躇いもなく。
そんな人間に、何も遠慮なんてしないで接してくれる人間。
――……面白いですね。
この人間と、もう少しだけ話したいなと思った。
「んでさ、アンタってこの先にある遺跡から出てきたんだろ?」
「ええ、まぁ」
「おぉ! じゃあどんな遺跡だった? オレ、これからそこに行くつもりなんだよ。村人全員が忌避している遺跡って、何だか面白そうだよな!」
眼を爛々と輝かせている。
本当に子供みたいな人だ。
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