第二章 悪魔の団体

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「う……ッ」 「更に追及するなら、それは本当の友達でしょうか? どちらかが趣味嗜好を押し付けて、それでも何とか関係を維持し続ける関係なんて、友達でも何でも無いのでは?」  対等な関係である“友達”。一人として出来たことの無いアリアが口にする資格は無いけれど、それでも堂々と言う。  アリアが幼い頃から、友達を渇望していた頃から抱いてきた友達としての理想像。  これだけは譲れなかった。 「押し付けた友情の果てにあるものは、ただの顔見知りでしかありませんよ」 「…………」  一刀は顔を俯かせた。肩が上下に揺れている。丸めた背も、凝視すれば微かに痙攣しているようだ。  怒らせたかなと思った。  謝ることも出来るが、アリアとしては譲れない一線だった。だから何も言わずに見守っていると、一刀は顔を上げた。 「葡萄酒、二つ! あと、今日のお勧めをジャンジャン持ってきてくれ!」  店員がいるカウンターに手を挙げて、そう大声で注文した。喧騒の渦を突き抜けた声に店員も手を挙げて答えた。 「あの、カズトさん……?」 「いやー、悪い悪い。こんな歳になるとよ、あまり他人から説教とかされることって無くなるじゃん? だからさ、さっきのかなり新鮮だったし、嬉しかった。あ、オレはマゾじゃないからな? ただ子供の時を思い出して懐かしがってただけだって」  両の掌を合わせて、 「確かにオレの押し付けだった。悪ィな。カズトさんで良いぜ。これで、オレとアリアは友達だよな!」
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