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「どうしたんだよ、そんな暗い顔して。今からそんなんじゃ、ユルーラ丘陵につく頃にはテンション最悪になってるぞ」
凍てつく寒さの中でも、一刀は明るく話しかけてくる。足取りも軽いし、今からどんな所に行くのか解っていないのはこの人なのではと不安感に襲われた。
「……………」
「おい、大丈夫か?」
「あの……カズトさんは、この国をどう思いますか?」
思わず尋ねていた。
一刀に、ザルバリアのことを。
町人の不平不満がやたらと不安にさせる。やはりこの国に救いはもう無いのではと考えさせるのだ。
一刀は歩きながら首を傾げ、
「いきなり何? 間がもたなくなったから適当にお国の事を話そう、っていう雰囲気じゃなさそうだなァ」
ザルバリアについてどう思うって聞かれてもなぁ、と呟き、数秒してからポツリポツリと言葉を紡いだ。
「この国かァ。取り合えず、貴族がクソだな。やってられない。今年さ、東部や南部で飢饉だったろ? それでも、平然と税を徴収していくのを見て、ああー、最低だなって思ったよ。ていうか、何で民衆はもっと大きな暴動を起こさないんだよ。クーデターとかさ。いやいや、国王については知らないけれど、各地を治める貴族が身の保身しか考えてないのは明らかだろ?」
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