第二章 悪魔の団体

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「ご、ごめんなさい。お二人を馬鹿にするつもりは無いのですが、その……面白くて……」  ここまで笑ったのは久しぶりだった。最近の激務のせいか、父親が亡くなったときから笑うのを控えていたせいか。  どちらにしろ、口許を押さえなければ吹き出してしまいそうなほど笑いたくなったのは本当に久方ぶりだったのだ。 「――なんか喧嘩してんのも馬鹿らしくなってきたな。おい、ファー。それじゃ、この一件が終わったら好き放題食わせてやるってので手を打とうぜ」 「よかろう。ただし、お前様の軽い財布がもっと軽くなっても知らんぞ?」 「その時はその時さ」  苦笑し、一刀は続ける。 「けど、アリアを護るのがオレの役目だ。その辺りは覚悟しておいてくれ。ファー、今日は些か面倒なことになりそうなんだよなァ」 「解っておるわ。お前様が一度決めたことを貫く、頑固者で前時代的な考えの持ち主だということはな」 「前時代的って……。アリア、コイツ酷いよな?」 「大丈夫ですよ、カズトさん。私もファーさんの言う前時代的な人ですから」  一度決めたことを貫く頑固者。それはアリアも同じだ。愚直なまでに正義を信じる自分のことだ。  馬鹿にされているのは解るが。  何故か今は、それがとても嬉しい。 「おい、ファー。お前、一気に少数派だぞ? どっちが前時代的な考えなんだか――」  一刀の口が不自然に止まった。 「カズトさん?」
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