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「過激派、ですか?」
「聞いたことねぇか? 星屑の聖座は今、村や町を簒奪している過激派と、あくまで民衆目線に立って行動する穏便派に二分されているって話をさ」
勿論、その程度なら多少は把握していた。この間、師匠から聞いたからだ。民の気持ちが今、星屑の聖座によるクーデターに期待していることも。
――情けない話ですけどね。
国政の一部分に携わっているアリアだけに、それを知ったときの喪失感は文字通り言葉を失わせた。
「つまり、来の教団に雇われとるのは過激派の人員ってことじゃな?」
「その可能性も視野に入れておいた方が良いってこった。まぁ、これは希望的観測なんだろうけど」
「……つまり、最初から星屑の聖座全体を疑うのは良くないということですね?」
星屑の聖座が立ち去ったのを確認してから、二人も音を発てないようにして立ち上がる。服に付着した雪が、アリアの発する熱によって溶けていく。
「覚悟していたとはいえ、猟兵が多数いるのは厄介ですね」
「アイツらは監視みたいなものだしな。アジトの中に何人いるか考えたくもねぇけど、それでもアリアは行くんだろ?」
「行くんじゃろ?」
二人の問い掛けにアリアは頷く。元々、猟兵がいることを前提にしてここまで来たのだ。
本当に居ただけで逃げ帰るつもりは毛頭ない。むしろやる気は増したぐらいだ
「うっし、なら急ごうぜ。この悪天候だ、遠くまで監視するわけねぇからな。きっとアジトもそう遠くないはずだ」
それは唐突だった。
突然、足下が上下に揺れ始めたのだ。地震とも雪崩とも違うこの感覚をアリアはいつもどこかで感じている。
――これは……!
一刀も同じ見解に至ったのか、
「地下で何かが爆発したのか!?」
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