彼はそれを毒林檎と知っていた。(緑青)

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S.緑 帰宅して、鍵も閉めずに風呂に入った。 風呂から上がってリビングに向かうと、何故か泥酔して眠っている、お隣さんのヤスくん。 (近いし、家、間違えたんかな) 取りあえず起こそうとヤスくんに近付く。が。 「くさ」 酒の匂いプンプンさせて、呑み過ぎやろ。 ヒドく酔っていて、顔はもはや林檎のように真っ赤だ。 ……にしても、Yシャツははだけていて、何て言うか、エロい。美味そうやな。 て 「あかん、何考えとんねん」 酔ったオトコ相手に欲情しとる場合ちゃうて。と自分に言い聞かせるように顔を横に振った。 「……さて、この子どないしよ」 勝手に鞄から鍵探して上がりこむ訳にもいかへんし、かといって此処から追い出す訳にもいかへんし。 …………しゃあない、今夜はとめたるか。 そうと決まったらベッドに移したろう。 _
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