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S.青
僕は動物に例えるなら、チンパンジーらしい。
みんな異口同音に口を揃えて言うから、たぶん、絶対。
性格は、我が儘。ほんでもって、甘えん坊。
そんな僕は、今まさに甘えたい気分。
「た~っ、ちょん♪」
何もせずソファーに居座る彼の胸の中に、飛び込む。
そうしたら、反射するかのように腕を広げてくれて。
見上げれば、いつもの穏やかで優しい、柔和な表情をした彼がおる。
「どしたん、ヤス」
ワシャワシャと頭を撫でられる。
すこし、胸がくすぐったい。
「あったかい」
抱きしめられたまま、彼の胸に呟いた。
彼は離れようとするので、顔を見られないようにしがみついた。
「……ヤス?」
「すき」
そう言って見上げると、徐々に赤みを増す彼の頬。
「っ/あー、それ、反則……」
参ったと言わんばかりの表情を浮かべる彼に、とたんにジワジワと、勝ったと言わんばかりの優越感。
“俺も好きや”その幸せを感じると、何だか急に眠気がして、彼の腕の中で眠りたくなった。それを伝えると、じゃあ寝なさいって子供扱いされる。
……もはや子供で合っとるけど。
「たっちょ、目、閉じてもちゃんとおる?」
「ん。ちゃんとおるよ」
「起きてもちゃんとおる?」
「……ずーっとおったる。早よ寝ぇ」
チュ、と口づけを受ける。
あ。
今、世界一幸せ者。
end
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