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いつからでしょう。
あたしには、星が見えます。
星っていっても、空に浮かぶ何億年前かの光を放つあの星ではありません。
すぐ近くに、見えるんです。
空に浮かぶ星のように、手の届かない訳ではありません――――、手に届かないのも届かないでロマンチックですけど。
あたしが見ている星は、触れます。
ジグソーパズルのように、組み合わせることも出来るのです。
これは、幻覚なんかじゃなくて、生まれたとき、産声をあげた瞬間から見えていました。
この星のピースでジグソーパズルをやるのは、とてもいい暇潰しになります。
小さい頃、あたしは『なにも知らな』くて、『星が見えない人』の前で、つまりあたし以外の人間がいるところで、よく遊んでしまっていたようです。
あたしのことを病気だと思ったのか、周りの人は心配しました。
お母さんは、バカなことするんじゃないと、あたしを怒りました。
当時ホントに小さかったあたしは、怖くて怖くて、星で遊ぶのをやめました。
でも、あたしは今日も、星を触ります。
あたし以外の人が、いないところで。
あたしのことを、知る人がいないところで。
あたしの存在なんて、この世界の人は、誰も知らないかのように。
一人で。
世界でたった一人、星を触ります。
でもそれは―――――あたし一人ではなかったのです。
正しくは、この世界では、一人ですけど。
悪魔界では――――あたしと同じ人が――――いや、あたしと同じ『悪魔』が――――いました。
悪魔界でも、あたしは珍しいようです。
でも、人間界よりは・・・あたしの居場所があるようです。
でもあたしは今、人間界が恋しいです。
なんででしょう?・・・フフフ、想像もできないでしょう?
正解は・・・あたしは今、悪魔界にいるからです。
人間界にはまだ帰れません。
でも・・・きっと・・・いや、絶対!!
帰れます、人間界に。
それは・・・レンが言ってくれたからです。
『ミウは俺が絶対人間界に戻してみせる!!』・・・って。
あたしは、なにがあっても、その言葉を信じて、今日を生きていきます。
きっとあたしはいつのまにか、レンのことを好きになってしまってたようです・・・―――――。
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