0人が本棚に入れています
本棚に追加
不意に杏子が私の顔を覗き込む。
「花粉なくなれ、とか考えちゃだめだよ?」
「なっ!人の心読まないでよ!」
ガタガタと椅子を後ろに引きながら言う。
「だっていっつも憎しみこめながら言ってるでしょー?そりゃ分かるよ」
あははっ、と軽く
それでいて柔らかく笑う。
小学生の時と変わらない口角を下げた笑顔。
だからこんなに優しい笑顔なのか、と思った。
栗色の綺麗な髪が風でふわっとあがった。
「…っくし!」
ガラッ
私のくしゃみと同時に先生が入ってきた。
なんてタイミングのいい…
最初のコメントを投稿しよう!