44人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゴルァ綾崎ぃ!!息子貰いに来たぞ――!!出てこいやゴルァ!!!!」
扉を蹴飛ばしたかのような音と共に怒鳴り声が響き渡る
「おいおいおい…随分早いな!?」
とにかく、さっさとハヤテを連れて逃げなければ…
「ハヤテ、俺に負ぶされ!!」
「えっ?でも――――」
「いいからっ!!」
返事を待たず、ハヤテの襟首を引っつかみ、無理矢理背中に背負う
そのまま、窓を開け放ち、勢いよく飛び出した
隼人達が部屋から脱出してから数秒後、遂に部屋の扉は蹴破られ、三人の男達が乗り込んできた
「おらぁ、綾崎ぃ!!」
「息子らはどこじゃあ!!」
がたいのいい男は部屋を見渡すが中は既に無人のようだった
「野郎、どこ行きやがった!?」
何故かチワワを抱いているリーダー格の男が荒々しく部屋中を歩き回っているが、人っ子一人見つけられなかった
「兄貴!!あそこ!!」
苛立たしげに舌打ちを打つリーダー格の男の背後で、開け放たれた窓を眺めたがたいのいい男は、慌てたように窓の外を指差す
そこには走って逃げ去る二人の後ろ姿があった
「ちっ!!あのガキ共…窓から逃げやがったか!!」
「追いますか?」
窓から身を乗り出すリーダーの脇で顔の左側に大きな縦の傷痕がある若い男は、ドスの柄に手をかけて走り去る後ろ姿を睨みつける
「当然だ、この家の物も全部差し押さえろ、大家も脅して敷金も全部回収だ」
「へいっ!!」
がたいのいい男が部屋から出ていくのを見送りながら、リーダーは部屋の入口の脇に突っ立っている二人の男に目を向けた
どちらもニット帽を被っている
二人はリーダーの視線に気付き、ビクリと身体を震わせた
「そっちの二人もコレだけじゃ全然足りねぇからよ、明日までに全額持ってこねーと、身体で払ってもらう事になるぜ」
「「あ…はい!!」」
恐怖に怯える二人に近付きつつ、リーダーは言葉を続ける
「誘拐でも強盗でも…何してでも金は返してもらわねーと、こっちも慈善事業じゃねーからよぉ………………いいな?」
「は…はい…!?」
男の片割れにチワワを近付け、存分に顔をなめさせならがらリーダーはそう告げたのだった
最初のコメントを投稿しよう!