始まり

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「ゴルァ綾崎ぃ!!息子貰いに来たぞ――!!出てこいやゴルァ!!!!」 扉を蹴飛ばしたかのような音と共に怒鳴り声が響き渡る 「おいおいおい…随分早いな!?」 とにかく、さっさとハヤテを連れて逃げなければ… 「ハヤテ、俺に負ぶされ!!」 「えっ?でも――――」 「いいからっ!!」 返事を待たず、ハヤテの襟首を引っつかみ、無理矢理背中に背負う そのまま、窓を開け放ち、勢いよく飛び出した 隼人達が部屋から脱出してから数秒後、遂に部屋の扉は蹴破られ、三人の男達が乗り込んできた 「おらぁ、綾崎ぃ!!」 「息子らはどこじゃあ!!」 がたいのいい男は部屋を見渡すが中は既に無人のようだった 「野郎、どこ行きやがった!?」 何故かチワワを抱いているリーダー格の男が荒々しく部屋中を歩き回っているが、人っ子一人見つけられなかった 「兄貴!!あそこ!!」 苛立たしげに舌打ちを打つリーダー格の男の背後で、開け放たれた窓を眺めたがたいのいい男は、慌てたように窓の外を指差す そこには走って逃げ去る二人の後ろ姿があった 「ちっ!!あのガキ共…窓から逃げやがったか!!」 「追いますか?」 窓から身を乗り出すリーダーの脇で顔の左側に大きな縦の傷痕がある若い男は、ドスの柄に手をかけて走り去る後ろ姿を睨みつける 「当然だ、この家の物も全部差し押さえろ、大家も脅して敷金も全部回収だ」 「へいっ!!」 がたいのいい男が部屋から出ていくのを見送りながら、リーダーは部屋の入口の脇に突っ立っている二人の男に目を向けた どちらもニット帽を被っている 二人はリーダーの視線に気付き、ビクリと身体を震わせた 「そっちの二人もコレだけじゃ全然足りねぇからよ、明日までに全額持ってこねーと、身体で払ってもらう事になるぜ」 「「あ…はい!!」」 恐怖に怯える二人に近付きつつ、リーダーは言葉を続ける 「誘拐でも強盗でも…何してでも金は返してもらわねーと、こっちも慈善事業じゃねーからよぉ………………いいな?」 「は…はい…!?」 男の片割れにチワワを近付け、存分に顔をなめさせならがらリーダーはそう告げたのだった
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