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「おい!!何すんだてめぇ!?」
叫ぶような声が耳に入り、私は固く閉じていた眼を開いた
私の腕を掴んでいる金髪の男の腕
それを横から止めるように別の男が金髪の男の手首を掴んでいた
「………はぁ」
助けてくれたであろう男は不機嫌そうに溜め息を吐くと、その腕に力を込めるのが分かった
「痛あぁぁ!?は…離せっ!?」
「ほらよ」
痛みからか私の腕を離した金髪の男は次いで離された腕の勢いに負け、無様に尻餅を着いた
そのまま男は私と金髪の男の間に遮るように立ち塞がった
「相手は子供だ、あんまり怖がらせるもんじゃないぜ」
「くそっ!誰だか知らねぇが調子に乗ってんじゃねぇ!!!」
不機嫌そうな顔のまま、目前の男はそう告げる
しかし金髪の男は痛むのであろう手首を抑えながら、殴り掛かってきた
危ない!!と叫ぼうとした直後、鈍い音とうめき声が響いた
眼を反らした私が改めて前を向けば、右腕を振り切った目前の男と、10メートル程離れた場所に、殴られたのであろう、左頬が真っ青に腫れている金髪の男が倒れていた
「ヨッちゃん!?」
慌てて金髪の男に駆け寄る連れの男に対して、殴った右手をブラブラと振りながら、目前の男は二人を睨みつけた
ヨロヨロと連れに肩を貸されて立ち上がる金髪の男に男は声をかけた
「さっさとそいつ連れてどっか行っちまえ、これ以上怪我したくねぇだろ」
シッシッと手を振る男に二人は悔しそうに顔を歪めるとフラフラと去って行った
「あ…あの…」
それを黙って見送っていた男に、私は意を決して話し掛けた
クルリと私に向き直る男、その表情は変わらず不機嫌そうだった
「あ…ありがとう、助かったよ」
「あ…あぁ、怪我ねぇか?」
「うむ、問題ない」
沈黙が降りる
さらに不機嫌そうに眉間にしわを寄せた男に私は心中で、何か間違ってしまったのかと心配になってしまった
両者共に喋らないので、とても気まずくなる雰囲気
それをどうにかしようとした直後、ガシャコンと何かが落ちる音が背後で聞こえた
慌てて振り向くと、一人の少年が自販機の受け取り口から三本の缶を取り出していた
そのまま、私達の方に近付いてきた
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