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「あいででっ…ったく、せっかくのクリスマスイブだっつうのに…」
身体中に走る痛みに耐えつつ、自転車を押して歩く
結構な高さの階段だったのだが、どうにか大事にならなかったようだ
丈夫な身体に感謝しながら街中を進んでいく
俺自身平凡な公立高校に通う普通の高校一年生だ
なのに、何故その普通な高校生がクリスマスイブもアルバイト三昧なのかは、それなりの理由があるわけで…
「―――ん?もしかして綾崎か?」
回想に耽っていた俺は、前方から聞こえてきた声に思わず足を止めた
目の前には見覚えのある四人の男女がいた
「お前ら…」
こいつ等は俺と同級の生徒達だ、立派に着飾っているところを見るに、これからクリスマスパーティーと洒落込むのかもしれない
「俺達これからクリスマスパーティー開くんだよ」
「綾崎君も来る?」
思った通りだった、それもあまり親しくない俺を誘ってくれている
この性格が災いして高校でも殆ど友達がいない俺を誘ってくれているこいつらの気の良さを嬉しく思いながらも、内心とは正反対の言葉が思わず出てくる
「…行かねぇよ、余計なお世話だ」
言ってしまってから、そのあまりにも酷い返事に自己嫌悪の感情が胸中に溢れかえった
どうにもこうにも好意に対して素直に礼を言えない自分が俺は大嫌いだった
そして、こんな返事を返されたらいい顔はしないだろう
予想通り彼らはそれぞれ顔を引き攣らせて去っていった
いつも通りといえばいつも通りな光景に、嘆息しながら会社へと戻る道筋を辿りはじめた
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