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「なんだこれ…【隼人君&ハヤテ君へ】?」
封筒に書かれている文字を訝しげに眺めながら、封を切る
「クリスマスプレゼント?あの親が?―――――??」
中に入っていた紙切れを取り出し、内容を読み取る
しばらく…そこに書かれている言葉の意味が理解できなかった…
知らぬ間に二枚目の紙を取り出し、確認してみる
それは一通の借用書であった
「―――何だこれ?借用書?…一、十、百、千、一億…三億?」
「【後は任せた!!】って…まさか…!?」
【頑張って返済してくれ!!】
「はあ!?」
―――――サンタがくれた借金だった
「無理に決まってんだろ!?いつの間にこんな馬鹿みたいな借金作ってんだ!?」
狼狽する俺に対して返されたのは無慈悲な言葉だった
【ごめん、ついつい博打に熱が入って…】
「阿呆かぁっ!?」
【しかし仕方なかったのです】
「仕方ないって博打だろうが!!」
【まーでも、できちゃったものはしょーがないし…】
「開き直ってんじゃねぇ!!!」
【けど働いて返すのはダルいし、隼人君の給料は少ないし貯金もない、困り果てたママ達はあれこれ考えた結果…ふと名案を思いつきました】
「………名案?」
正直今までがあまりに酷かったので驚かないだろうと高を括っていた俺の目に、信じられない言葉が書き綴られていた
【そうだ♥息子達を売ろう☆】
「―――は?………はあぁぁぁぁっ!!!???」
あの親共、遂に息子を売りやがったのか!?
その文面を凝視する俺の耳にドタバタと何かが駆け寄ってくる足音が聞こえた
「どっどうかしたの!?兄さん!?」
慌てて入ってきたのは、小学校から帰ってきたのであろう、ランドセルを背負ったハヤテだった
その心配げな表情を見て、幾分か冷静になることができた
「兄さん、何かあったの?」
「いや…何でもない」
こちらを見上げるハヤテに何でもないように返事をする
ハヤテがこれを知れば凄くショックを受けるだろう、まだ小学生なんだ
こんな事実を話していいものか俺には決められなかった
しかし…
「嘘…だよね、兄さん」
目を細めてこちらを見つめるハヤテに、俺の表情は固まった
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