ロックスターに憧れて

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 結局、ピートのドラッグ問題についてばかり話してしまい、ロックスター=素行の悪さなんて思わせてしまっていたらごめんなさい。2006年にNME調査で“偉大なロック・ヒーロー50人”の第二位に選ばれるほどの人だ。ゴシップの対象になるばかりが彼を伸し上げたわけではない。  彼の魅力は、勿論、音楽にある。ザ・リバティーンズの楽曲から見てとれる高いソングライティング能力は、カルト紛いなファンも抱えるほどの人気を一気に得た。  俺も初めてアルバム“Up The Bracket”を聴いた時の衝撃と言ったら……これが初期衝動というものなのか、と初めて文字ではなく体で理解した瞬間だった。  別に演奏が上手いわけでもない。むしろ、歌のギターもヘロヘロでお世辞にも上手いとは言えないレベルなのだ。  しかし、聴けば溢れんばかりのセンスと勢いに圧倒される。俺はタワレコの試聴コーナーで聴いた瞬間、「これだ!」と直ぐにCDを手に取りレジに向かった。多分その顔は興奮に満ちた顔だったのだろう。
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