届け。

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引っ越し当日。 この日は日曜日だった。 昨日から寝付けなかった。 結局、気がつけば朝になっていた。 下から母さんの声が聞こえてくる。 「明ぁぁ。千穂ちゃんの見送り行かなくていいのぉ!?」 あんな事を言ってしまって 行きづらい。 でも、見送らないわけにもいかない。 重い足を一歩一歩 運んでいった。 千穂の家の前に着くと ちょうど、荷物を車に積んでいるところだった。 僕は、大きく深呼吸をした。 「千穂。」 弱々し声で名前を呼んだ。 千穂でわなくお母さんが僕に気づいた。 「千穂、明君が来てるわよ。」 おばさんは笑顔でそう言った。 言われた千穂が僕の方を向いた。 そして、こっちに歩いてきた。 「アキ…来てくれたんだ。来ないと思ってたから、嬉しいよ。」 「ねぇ、聞いて千穂。」
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