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打ち合わせが済んで帰宅すると彼は矢張りふてくされていた。
私が墨を入れる事に対しては何も言わない。迎合こそしている。
私が男と会う事が許せないのだと前に言っていた。
許せないが自分は止める権利がないからもどかしいとも。
態度ですぐ分かる男なのだ。彼は。
そんな彼に辟易もすれど愛しささえ覚える。嫉妬に狂えばいい。妬みという醜い感情に溺れ沈んでしまえばいいのだ。
彼の醜く歪んだ顔を見るたびにそう愉悦した。
私はひねくれている。ねじ曲がっている。
そう思うけれど直したいとも思わないし没個性社会に置ける貴重な個性はどうすることも出来ないのだ。それが私という、霊長類ヒト科に属するニンゲンなのだから。
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