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没個性社会に悲観すらしていない。悲観する方が莫迦だし、元々ニンゲンなんて生き物に個性を求める事すら愚の骨頂だ。
霊長類ヒト科 ニンゲンはただ単に個体の一つでしかない。
本来群れで生活し、群れの中で社会を作り、食って寝て脱糞して子供を作って死ぬ単調極まりない生き物だった筈だ。
それがいつしか脳が発達し、水を汲む水瓶を作ったかと思えば獲物を捕る武器をこさえ、相手に気持ちを伝えるために絵を作り描き、絵から文字が生まれ、模様を作り、他の個体――獣など――と区別がつくように化粧で化け、ボディアートや人体改造などが出来た。
個性などと言う言葉は本来区別と同じ意味合いであったのだ。
だから私が悲観しているのはそのような漠然とした件ではなくて今。まさに。この時。この時間。この空間なのだ。
犬みたいな彼氏が豹変しないだろうか。
私が彫り師ともし出来てたら彼氏はどう思うのだろうか。どうするだろうか。
私を殺めるのだろうか。
それは一種の究極の愛の形なのだろうな。愛するが故に嫉妬に狂う。嫉妬。嫉妬。嫉妬。嫉妬という言葉は女弁だが女こそ嫉妬の嫉妬たるや嫉妬の根元であるように昔からよく言うし、実際、お岩さんや番長皿屋敷や八百屋のお七、阿部定事件など腫れた惚れたの一悶着で歴史的な陰惨な事件は多々あるが、実際女は別れるとなったら男よりずっと潔いし、すぐに忘れる。すぐに忘れるから嫉妬という言葉は男弁にすべきじゃなかろうかななんて下らないことを延々堂々と考えていたら、翔に、何か考え事?と聞かれた。
おっと!私としたことが…。
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