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「そんな表情してどうしたよ? 本当の事をいっただけだろ」
「あの程度で年増ってお前人間やめた方がいいんじゃねえの? つうかあのつるぺたボディの何処に魅力があるんだよ」
「はん! わかってねえなあ、池くんはよっ! アイドルは心で惚れるもんじゃねえの? もしかして池くんは、添乗揚羽蝶の体に惚れただけのゲスな男だったのか?」
「んんんん、んな訳無いだろ」
僕が発端でこんな口論になるとは……動揺を隠しきれない池くんに暁は勝ち誇った表情で言う。
「それじゃあ、添乗揚羽蝶の良い所を三つ以上あげてみろ」
「大人の魅力、体操服を普通に来てもエロい、ビキニがエロい。猫かぶりだがエロい、視聴者サービスがエロい」
速答だが、もの凄くぐだぐたな解答だった。
「それ良い所なのかよ……つうか完全に体に惚れてるじゃねえか……」
僕の言いたいことを代弁するように暁は言葉を口にした。
「それじゃあ、高尚なアイドル論をお持ちの暁さんは、クソガキの良いところ十は言えるに決まってるよなあ?」
池くんのクソガキと言う言葉に暁は僅かに眉をひくつかせる。
「もちろんだとも」
「それじゃあ言って貰おうか」
「純心無垢、元気溌剌、好奇心旺盛、笑顔が可愛い、向上心がある、子供らしい――」
そのあときっちりと十の良いところを言った暁に池くんは悔しそうに歯ぎしりをしていた。
「ま、まあ。アイドルの何処が好きなんてのは人それぞれだから、池くんも落ち込まなくていいんじゃない?」
アイドルとはやはり偶像なのだから。
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