第一話 再会

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    『なる? ……て、またか、』  あいつは必ずと言っていいほど俺の後を追っている内に、転ぶ。追い付いてきた試しなんてほぼない。  その日も階段の中腹で少し飛び出た石に足を引っ掛けたらしく、へたりこんで俯いていた。 『何やってんだよ、ばか』 『……だって、桜ちゃんが先に行っちゃうから……』  近付いて腰を屈め、覗き込む。あいつは瞳いっぱいに水分を溜めて、俺を見上げてきた。  しかし、決してその水が目の縁から零れることはない。 否、零さない。 あいつはどれだけ派手に転んで至る所を擦りむいたとしても、ギリギリの所で『泣かない』 『……ごめん。悪かったよ。立てるか?』 『…………うん、だいじょうぶ、』  だから俺は結末を分かっていながらも、そんな意地悪を繰り返していたのかも知れない。 『……ほら、なる』  あいつの強さと。 『ありがとう、桜ちゃん』  差し延べた俺の手にその手を重ねてくる笑顔が、ただ見たくて。  
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