第一話 再会

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     それから、普通科と特進科。それぞれA棟とB棟の校舎に別れてしまった俺たちは、会話を交わす機会がまったくないまま、気付けば一年が過ぎていた。 同じ高校にいながらすれ違いもしないなんて、流石一学年10クラスもあるマンモス校は違うなー。って、多分それだけじゃない。  俺はまた話したい気持ちがあったから、たまに特進科のあるB棟まで出向いてみたりもした。 食堂や体育館、二つの校舎を繋ぐ渡り廊下、鳴海が行きそうな図書室など、フラフラしてもみた。  が、俺は鳴海と出会うことがついに出来なかった。  十年前、俺の背中をいつも追って来た鳴海のことを、俺は一年間ただの一度も見付けることが出来なかったのだ。 『次期生徒会長候補の九条って、お前と小学校一緒なんだって? 知ってる?』  一週間前のことだ。 俺を新・体育部総長件副会長に任命してくれた十津川(トツカワ)部長にそう問われ、直ぐに言葉を返せなかった理由は二つある。 一つは、鳴海が次期生徒会長候補だと初めて耳にして、単純に驚いたからで。 もう一つは。鳴海に避けられてるかも知れない俺が、『幼馴染み』だと言ってしまってもいいものかと。一瞬悩んでしまったからだ。  
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