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光太目線―
放課後。体育館に、シューズの擦れる音、激しいドリブルの音が響く。
最近の部活は、ハードだ。試合が近いのだ。俺は、3年だから、次の試合が引退試合で。だから嫌でも、気合いが入る。悔いだけは、残したくない。
「みんな集まって。今日の練習は、ここまで」
俺がそう言うと、部員達は、練習を止め
「「「お疲れ様」」」
と後片付けを始めた。
部員達は、汗びっしょりだ。そんな姿で部室に戻り、着替え出す。だから部室は、いつも男臭い。
「お前は、いいよな。スポーツ推薦だから」
俺の親友、田口亮太は、俺の肩に手を回し言う。
「暑いから、くっつくなっ」
俺は、顔をしかめ亮太の腕から、逃れる。
「部活、引退したら、いよいよ受験生だよっ」
『引退』という言葉が心にひっかかる。
「…………」
「光太?」
「そうだよな。本当に、引退なんだよなぁ……」
「本当だよな……」
二人で、ため息をつく。
俺らは、今までバスケ、一色だったから、引退するなんて想像もつかないよ……
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