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「失礼します」
俺は、日誌、片手に職員室のドアを開けた。
「しっかりしてもらわないと、困りますよ。もう学生とは、違うんだから」
高田先生の声が聞こえた。新人の先生を注意してるようだった。
先生も、怒られたりするんだな……
まあ、高田先生は、生徒にも、口うるさいし……
「…………」
日誌、どうしよう。担任の高田先生に渡したいのにな。
俺が、とまどっていると、次の瞬間、高田先生と目が合った。
「結城先生、もういいですよ」
「すみません」
可愛らしい声がした。
結城先生か……副担の。
結城先生は、高田先生に、深々と頭を下げると、俺の横を通り過ぎた。
髪が、揺れるのと一緒に、微かに甘いシャンプーの香りがした。
「あ……先生、日誌」
「ああ。日直、お疲れ様」
高田先生は、一言そう言い日誌を受けとると、そのまま仕事に戻った。
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