小説を書いている人、要注意!

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○月○日、某所―― 今日も長かった仕事が終わり、夜の街をぼんやりと歩く。夜の街は日中とは違う雰囲気を醸し出すものだ。 昼とは違う賑わいや街を照らすネオン、夏特有の香り――。 仕事帰りの人達で街中が溢れる中には、一仕事が終わって酒を召し上がったのだろう足取りで家へと向かうサラリーマンの姿 そんなサラリーマンを更に呼び込もうと道の両端には飲食店のキャッチが笑顔でチラシをまいていた。 誰それ構わずにチラシを配るボーイを華麗にスルーしながら、仕事の疲れを露わにした私は地下鉄へと降りる階段を一段一段下りていく。 こう思うのは私だけだろうか?人が集まる街中には、よく変わった人。即ち『不審者』と呼ばれる人達がよく現れる。 しかも暗黙の了解なのか?彼らは決まって昼よりも夜、そして何故か地下での出没率が異様に高いのはなぜだろう。 人が沢山集まる街中なら仕方ないと言えば仕方のだがある意味、一日一回は不審者と呼ばれる人を見るのが常識になっている 今日も例外なく地下鉄の通路に設けられた長椅子に両手を着けたお兄さんが元気良く飛び跳ねている所だ。 おまけに、ジャンプしている間の僅かな滞空時間に両脚の足裏同士をくっつけると言う……、神業付きだから素晴らしい。 「おぉ~!やるじゃん」 なんて心の中では思っていても決して口には出さない。不審者には関わらないのが一番と、昔誰かに教わった気がする。 いわゆる子供が危ない人を見ている時のお母さんがよく言う 「見ちゃだめよ!」 ……ってやつである。
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