僕とリュー

5/10

72人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
………………これが、自然の味…… ………………なんだこれ。 なんだこれ。 なんだこれ。 めちゃくちゃうめぇじゃねぇか。 リンゴ馬鹿うまい。 ただ無言で、モグモグと食べていると…… 「エーチ」 リューに呼ばれた だからリンゴを口に入れたまま、リューに視線を送る。 ……なんだお前 僕は今、リンゴを食べてんだ。 人生初のリンゴなんだぞ。 ゆっくり味あわせろばかや……………… 「出来たぞ」 そう言って、目の前の机に置かれた皿。 中にあるのはパスタ。 うん。美味しそう。 食べきったリンゴの芯を机におき、 リューお手製のパスタを食べはじめる。 ……思ってたより美味しくて、ビックリした ……それと同時に、自分はこんなにも人間らしかったんだと驚いた。 自分は人間じゃなくて、 何もかもに興味が無くて、 生きていくだけで、満足だと思っていた。 「……美味いか?」 リューにそう聞かれ、 僕はコクコクと頷く。 「……そうか」 ………………そう言って笑ったリューに。 『あ、笑った』 って思った。 そういう些細な事を思うのも、 僕は初めてだった。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加