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いつやったのか知らないが、既にお湯が張ってある。
僕は服を脱いで、身体と頭を洗ってから湯船に浸かった。
実は、お風呂も初めて。
シャワーしか浴びたことが無いし、
その時間は五分以内で終わらせなければいけなかった。
「……………………」
………………正直。
初めて入るお風呂に、ちょっとだけビビってる
いやビビってるってゆうか……
だって初体験だよ?
誰だって初めては怖いもんでしょうよ。
色んな言い訳を頭の中で言いながら、そっとお湯に足を入れてみる。
「……………………」
……熱い。
熱い熱い。
………いや、そうでもな……
いや熱い。
思ったより熱かったお湯に戸惑いながらも、何とか肩までつかれた。
温度に慣れると、凄く気持ちいい。
「……………………」
口元までお湯に入れたまま、幸せなこの時間をぼ~っと噛み締める。
………これが、日常なんだ………………
こんなに沢山時間があって。
こんなに沢山温もりがあって。
――ブクブクブクッ…
口で水面に泡をたて、初めてのお風呂をちょっと楽しむ。
そして飽きたら止めて、またぼーっとする。
「……………凄い、な……」
……日常って、
凄く、幸せだ。
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